Q&A回答

 

(A.1)

1 口蹄疫は、ウイルスが原因で起こる牛、豚、羊、山羊などの急性の伝染病です。
  人に感染することはなく、仮に感染した動物の乳肉を摂取しても人の健康に影響
  はありませんが、伝染力が強く畜産業に与える影響が大きいことから、関係者が
  大きな関心を持たなければならない家畜伝染病の一つとされています。

2 一般的には、感染すると発熱、元気消失、多量の流涎(よだれ)が見られるとと
  もに、舌などの口の中、蹄の付け根、乳頭に水疱を形成し、食欲不振や足をひき
  ずるなどの症状を示します。(ただし、今回の宮崎県での例は、下の参考で詳しく
  説明しています。)

3 しかしながら、口蹄疫のウイルスの性質は多様で、家畜の種類や品種により症状や
  伝染力が異なるケースもあります。

4 したがって、早期発見のためには、こうした症状が見られた場合には、家畜保健衛
  生所に連絡するか、獣医師の検査を受けるようお願いします。

  参考:3月25日に宮崎県で発生した肉用牛では、食欲不振やよだれ、口腔内、鼻
     腔内のびらんが認められましたが、蹄部の水疱や口腔内の水疱といった症状
     はみられませんでした。

 

(A.2)

1 3月25日に口蹄疫の擬似患畜を確認後、直ちに家畜伝染病予防法に基づき、
   @発生の有情の消毒、擬似患畜の殺処分・埋却
   A発生農場から半径20km以内の移動制限地域の設定
   B半径50km以内の搬出制限地域の設定
   C家畜市場の閉鎖

  など、まん延防止のための措置を実施しました。

2 また、上記の緊急措置終了後は、原因究明のための周辺農家及び関連農家への立入
  検査を実施するとともに、移動制限地域内のウイルス浸潤状況の調査も併せて実施
  しています。

3 さらに、畜産関係団体による消毒関連資材の整備、移動制限地域ないでの消毒の実
  施及び防疫措置の指導を行うとともに、畜産農家に飼料等を搬入する車輌の消毒の
  徹底等を図っています。

 

(A.3)

1 口蹄疫のワクチンは、発病を抑えたり、症状を和らげたりする効果があるものの、ウ
  イルスの感染自体を防ぐことができないため、保菌動物を生じさせ、ウイルスを国内
  に定着させてしまうおそれがあります。

2 防火帯のようにワクチン接種地域を作って爆発的な感染の広がりを食いとめる方法が
  ありますが、再び口蹄疫の清浄国になるためには、ワクチン接種をした家畜をすべて
  と殺することが前提となり、長期かつ多大の経済的負担を生じることが想定されます。

3 わが国のような口蹄疫の清浄国で発生した場合には、早期発見と迅速な殺処分により
  短時間の内に流行を食い止めることが最も実際的といえ、また、今回の発生では今の
  ところ急速な伝播が見られていないことから、ワクチンを使わずに感染の広がりを食
  い止める事ができるものと考えています。

 

(A.4)

1 移動制限地域(発生農家を中心として半径20km以内の地域)内では、@生きた牛、
  豚等の移動禁止、Aと畜場及び家畜市場の閉鎖、B家畜の飼養管理用具、敷料及び糞
  尿等の移動が禁止されるほか人工授精も中止されます。

2 搬出制限地域(発生農家を中心として半径20kmから50kmまでの地域)内では、
  @生きた牛、豚等の移動禁止、A家畜市場や共進会の開催が中止されます。

3 なお、移動制限地域と搬出制限地域における規制のもっとも大きな違いとしては、搬
  出制限地域に所在すると畜場については、特段の営業規制が行われず、域内からの当
  該と畜場への出荷が可能であることがあげられます。これは、搬出制限地域について
  は、そもそも口蹄疫の汚染の危険性は低いこと、食肉処理に際して行われる食肉検査
  により、健康な家畜のみがと畜・解体されるからです。従って、こうしたと畜場から
  搬出制限地域外への食肉等の出荷も制限されないこととしています。

 

(A.5)

1 口蹄疫の初発に際しての移動制限の期間及び範囲については、家畜伝染病予防法に基づ
  いて採るべき措置をあらかじめ定めた「海外悪性伝染病防疫要領」に基づき、一般的な
  口蹄疫の潜伏期間(最長3週間)及びウイルスが空気伝播される危険性が特に高い範囲、
  人、家畜及び車輌の移動の範囲等(通例20km)を勘案し決定しております。

3 口蹄疫の最終発生後、患畜又は擬似患畜のと殺処分が終了して、他の家畜に伝染する恐
  れがなくなった後、最長の潜伏期間とされる3週間が経過して、この間に実施される臨
  床検査及び血液検査により口蹄疫のウイルスの存在が確認されなければ、移動制限は解
  除されます。

 

(A.6)

1 口蹄疫の初発に際しては、家畜伝染病予防法に基づいて採るべき措置をあらかじめ定めた
  「海外悪性伝染病防疫要領」に基づき、口蹄疫ウイルスが空気伝播される可能性がある範
  囲を考慮し、50kmを警戒地域として家畜の搬出制限、家畜市場の閉鎖等を実施してお
  ります。

2 搬出制限の期間については、署発生後、最長の潜伏期間とされる3週間が経過して、この
  間に実施される臨床検査及び血液検査により口蹄疫ウイルスの存在が確認されなければ、
  搬出制限は解除されます。

3 今回の口蹄疫については、3月25日に初めて発生しましたが、4月10日に移動制限地
  域内で新たに擬似患畜が確認されたことから、移動制限地域については、規制期間が当分
  の間延長されます。
  しかし、搬出制限地域については、これまでの調査の結果、今回発生した口蹄疫について
  は、空気感染の可能性が低いものと考えられることから、現時点では規制期間の延長は必
  要ないものと考えております。

 

(A.7)

1 3月25日宮崎県で口蹄疫の擬似患畜が確認されて以降、法律に基づく所要の防疫措置を講
  じるとともに、農林水産省では、一定期間出荷ができないことに伴う畜産経営対策として、
  以下の対策を講じています。

 (1)当面の経営資金の確保及び利子補給の実施
   @畜産局長通知により、金融機関に対して移動制限等により家畜の出荷に支障をきたしてい
    る畜産農家等の経営に必要な資金の円滑な融通及び既貸付金の償還猶予等償還条件の緩和
    を指導。
   A移動制限等により家畜の出荷に支障をきたしている畜産農家の経営に必要な運転資金を低
    利(貸付金利2.00%以内)で融通するための利子補給(利子補給1.01%以内)を措置。

 (2)収容しきれなくなった子豚の対策
   @収容しきれなくなった子豚の淘汰に対する助成
    搬出制限地域内の養豚農家が家畜防疫員の確認に基づき、子豚の淘汰及び焼却・埋却等を
    行う場合に、7500円以内/頭の助成を措置。
   A緊急的な豚舎整備に対する助成
    搬出制限地域内の養豚農家において、子豚の増殖により施設の収容能力を超えることとなっ
    た場合の緊急的な簡易豚舎の設置等に対する助成を措置。

 (3)肉質が低下した出荷適齢期遅延肉豚に対する助成
    搬出制限区域内の養豚農家が出荷適齢期を肥える肉豚(枝肉重量85kg以上の肉豚)を出
    荷した場合、6000円以内/頭の助成を措置。

2 今後とも、畜産農家の方々が経営を円滑に維持できるよう、万全の対策を講じていきたいと考え
  ております。

 

(A.8)

 最後の口蹄疫の患畜又は擬似患畜の殺処分の完了後、3週間を目途として設定される移動制限の期間
 内に、臨床検査及び血液検査などにより口蹄疫ウイルスが存在しないことが確認された時点で、終息
 宣言がなされ、移動制限は解除されます。

 

(A.9)

 今回の宮崎市の口蹄疫の発生農家では、中国産麦ワラが使用されていたことが分かっています。発生の
 原因については現在調査中ですが、この輸入麦ワラが発生の原因であることが否定できない状況です。
 また、韓国で口蹄疫が発生したこともあり、口蹄疫の汚染国から輸入される麦ワラ・稲ワラ等について
 は、これによる口蹄疫の万一の侵入を防止するために消毒措置をとることといたしました。
 したがって、中国、台湾、韓国、北朝鮮などの口蹄疫の発生国から既に輸入された麦ワラ・稲ワラ等に
 ついては、飼料及び敷料として使用することは控え、堆肥化、園芸用等の他用途に利用することが必要
 です。
 ただし、中国産の稲ワラだけは口蹄疫のウイルスを殺すのに十分な処理がなされた上で輸入されている
 ことから、これまでどおり使うことができます。

 

(A.10)

1 家畜伝染病予防法では、口蹄疫にかかっている家畜を患畜と呼びますが、一般に、口蹄疫については、
   @家畜が口蹄疫に特有の症状を示すとともに
   A家畜の血液中に口蹄疫ウイルスに対する抗体が検出され
   B家畜から採取した材料から、口蹄疫のウイルスが分離された
  場合に患畜とされます。
  また、これらの3つの要件のいくつかしか満たされない場合や患畜と同居したり、接触したりしたため
  に口蹄疫にかかる恐れのある家畜は、擬似患畜と診断されます。

2 3月25日に宮崎市で擬似患畜とされた牛については、口蹄疫様の臨床症状を呈するとともに口蹄疫の
  抗体が検出されましたが、ウイルスの遺伝子断片が検出されたもののウイルスが分離されなかったこと
  から、擬似患畜と判断されました。
  この擬似患畜とされた牛から、得られたウイルス遺伝子をさらに分析した結果、口蹄疫ウイルスの遺伝
  子であると確認されたことから、4月4日になって口蹄疫の患畜であることが判明しました。
  なお、既に患畜である場合と同等の防疫措置をとっていることから、患畜であることが判明したことに
  よる防疫措置の変更はありません。